インバウンドビジネス法務③

債権回収における日本と中国の違い~その契約は有効ですか?

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最近、中国の企業の方から、日本企業との商取引を巡り、代金不払いのよる売掛金の回収や債務不履行を理由とした損害賠償請求について、ご相談いただくケースが増えて参りました。しかしながら、相談を受けて感じるのは、そもそも、仮に紛争となった場合に、いかなる解決手段があって、それが有効に機能するかどうかをよく検討することなく契約してしまっているケースが非常に多いという点です。

契約書を作成していないケースは論外としても、準拠法や管轄も全く定めず、さらには相手方企業のことも殆どまともに調査することなく、契約を締結して履行しているケースが少なからずあります。
 

日本において実効力のある債権回収を行うには、相手方企業や代表者個人に財産や信用があるか否かで大きく異なってきます。紛争となった時点で、相手方企業が既に解散していたり、本店所在地がレンタルオフィスであったり、代表者個人が全くの名ばかりであるようなケースがあります。日本の司法制度は、債権回収の実効性という点においては脆弱であり、判決は貰っても「絵に描いた餅」にすぎないケースがあります。また日本の警察は、民事不介入の原則があって、商取引のトラブルを積極的に取り上げてくれることはまずありません。詐欺罪や業務上横領罪のような経済犯罪の場合、少なくとも立件可能と思われる程度の証拠を自ら収集しないと刑事告訴や被害届も簡単には受理してくれません。

 

中国における債権回収

他方、中国における債権回収は、どのようになっていますでしょうか。

進出日系企業が多い中国において、債権回収問題は主な経営課題として挙げられています。不良債権のリスクを未然に防止するため、契約締結前に、相手の信用状況調査を含む与信管理が必要ですが、契約締結時にも取引条件のほか、当事者間で紛争が生じた場合の解決方法等の取り決めも必要です。更に契約履行期間中において、相手先の経営状況や財務状況にもついても情報収集等を通じて自らの債権確保に努めなければならず、万一、支払い不可の兆しを発見した場合には、直ちに次足る手段を採らなければなりません。

中国での債権回収方法には、大きくは、①法的手続きによらない自力救済(督促、交渉など)及び、②司法手続きによる公的救済(法院の支払督促、調停、訴訟、仲裁など)が分けられます。仲裁を提起するには有効な仲裁条項が必要です。また、訴訟や仲裁を提起する場合、有効な強制執行を確保するために、一定の担保提出を要求されますが、相手の財産に対して保全(差押え、押収、凍結など)措置を講じることができます。

なお、2007年民事訴訟法改正後、執行救済制度についての整備も図られています。具体的には強制執行について、債務者に財産状況報告義務を課しこれに違反した場合には過料や拘留を科したり、義務を履行しない債務者には出国制限を科したりする制度の新設など、「執行難」への対策がなされています。

債務者が強硬に未払い代金の支払いを拒絶している場合、例えば、契約締結にあたって債務者に詐欺行為があるケースであれば、債権者は、弁護士らに依頼して刑事告発を通じて公安機関に捜査を求めることも債権回収手段の一つの方法といえます。即ち債務者に詐欺行為があるような場合、公安機関は、当該債務者に対して強制捜査権を行使できることから、債務者の隠し財産等を明らかになり、債権者の債権回収に繋がる可能性があります。

以上のように、中国の現行法制度下において、債権回収の手段は多種多様ですが、いずれも債権者の立場を主張するための証拠収集が非常に重要であるため、日頃の取引に関する書面、特に契約成立までの経緯が分かるような証拠、契約書、支払証憑などを保存しておくことが重要であることは、いうまでもありません。

 

インバウンドビジネス法務

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第1回

不法就労助長罪~ラオックス社長らの書類送検にみる中国人雇用の落とし穴

第2回

旅館業法と民泊~Airbnbによる「民泊」ビジネスの難しさ

第3回

債権回収における日本と中国の違い



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